昨年末ぐらいに一つキーボードを設計・組み立てました。
年末に開始したプロジェクトなのでshiwasuという名前のキーボード、組み上がってからメインのキーボードとしてずっと使っております。
どう考えてこのキーボードを作ったかなど、少し書く時間が取れるようになってきたので、まとめておきたいと思います。
設計する上で考えたこと
前回設計したキーボードを使っていく上で感じたことを反映しながら、以下の項目を考えて設計しました。
- キー数は自分が楽しく使える範囲のミニマム
- 指の形に合わせたキー配置
- 内側に曲げすぎず使える親指キー
- 頻度は高くないが独立して欲しいWindowsキー
- 使う上での選択肢は多いほうがいい
以下、この辺りをもう少し語ってみたいと思います。
1.キー数は自分が楽しく使える範囲のミニマム
キー入力という意味で言えば、フルサイズのキーボードなら入力したいキーが刻印されたキーがそこにあるのでベストなんでしょうけど、机の上をしっかり占領してしまいます。
できればコンパクトなキーボードがいい。
あまり使わないキーは別のキーとの組み合わせ(レイヤー)で入力できるようにして、普段頻度よく使うアルファベットキーとShift・Ctl・Altなどの普段使いでストレスなく使える最小限のキー数がいい。
昨年設計したキーボードは片側4×6=24、左右で48キーのキーボードでしたが、それでもよくよく見直してみると使わないキー、違うレイヤーで配置すれば十分なキーが6つあったので、それらをなくしたキーボードを作ることにしました。
2.指の形に合わせたキー配置
せっかく自分で設計するのだから市販のキーボードにはないものがいいとは前のキーボードを設計したときから考えていました。市販のキーボードにはない各指の長さに合わせた、指を自然に置いたときにフィットするキー配置がいいと。
特に、わたしの場合は手がそれほど大きくないので、小指で押すキーが遠くに感じることが多く、それをどうかしたいと考えておりまして。
ただ、前のキーボード設計のときは設計自体がはじめてのことでしたので、まずはコンパクトなキーボードを作ろうと格子状に配置したものを作りましたが、今回は当初の思いをそのまま形にしようと考えてました。
Keyboard Layout EditorでErgo Dogのプリセットをベースに使い、自分の指に合うようにキー配置を考えて印刷して実際に合わせてみてを繰り返して。
入力するときにどの指も無理して打鍵することがないように今回のようなキー配置を作りました。
3.内側に曲げすぎず使える親指キー
前のキーボードのときがそうだったのですが、わたしの親指は内側にはあまり曲がらないらしく、Layer切り替え用のキーが内側にあると入力がなかなかしづらいことに気づきました。
親指はなるべく内側に曲げずにしたいし、逆に広げすぎても手が痛くなるだけでストレスです。
そうなると、親指が担当するキーは3つが限度でした。
キーボードに指を置いたときに自然に親指が乗る場所をLayerキーとして、その左右に一つづつキーを配置するようにしました。
4.頻度は高くないが独立したキーとして欲しいWindowsキー
わたしはWindowsをメインに使用しておりますが、自作キーボードを設計しはじめたときにはWindowsキーは独立して必要はないと考えておりました。ただ、何かと必要であることはわかっていたので、どこかのレイヤーに配置しておいて使えればいいと。
でも、実際に使用してみると意外とWindowsキーは使用することがわかりました。
デスクトップにいっぱいになったウインドウをさっと最小化するために「Windows+D」を押す。ちょっとPCの前から離れるときにさっと「Windows+L」でロックをしておく。など。
そんなに使用頻度は高くはないですが、他のキーと合わせて使用することがあり、これだとどこかのレイヤーに配置しておくと使い勝手が悪く、独立したキーとして欲しいのです。
ただ、それほど使用頻度も高くないのでどこに置くのかが問題、親指の範囲に置くのならば違うキーにしたいし。
Windowsキーを押すときってブラインドタッチというよりかは、キーボードを見ながらキーを確かめて押す機会が多いので、それならば余り邪魔にならないGやBの横辺りに置いて置くことにしました。
これならば左人差し指でBを押す場合にも対応できますからね。
5.使う上での選択肢は多いほうがいい
左側からUSBケーブルをだしてPCへ接続する左右分離型のキーボードが多いですが、わたしは右も左もどちらでも接続できるようにしたいと考えておりました。
今日はデスクトップPCなので右からUSBケーブルを出したのが使いやすいとか、明日はノートPCなので左からのが使いやすいとか。そんな感じに使い分けできることが嬉しいと考えてまして、Pro Microが左右を判断できるようにPCB上に左右判別用のジャンパーを用意しました。
firmwareも対応するようにコンパイルしてあれば、左右どちらからUSBケーブルを接続しても使用できます。
また、キースイッチについても、Low Profileがいいとか、背が高いものがいいとか、使用環境とか好みとかありますから、Choc SwitchもMX Switchも使用できることがうれしい。
両Switchに対応できるようにパターンを用意しましたので、ChocとMXを同時に使用することが難しいですけど、自分の好み・環境に合わせて使用することが可能なのです。
あと、まだデバッグもしていなですがI2Cでも左右の通信ができるようにジャンパーや配線なども追加してみたり、タクトスイッチも4つ足のものじゃなくて2つ足のものも使えるように試験的にパターンを入れてみたり。
好みや気分に合わせて、組み付けたり使えたりできるように少し選択肢を持てるようにしてあります。
まとめ
大きくはここに上げた5つ、わたしのこだわりを詰め込んでshiwasuを設計しました。
1月に組み上げて、さらにぺったんこなキーボードが欲しくなって追加でChoc版を組み付けて、2つのキーボードを交互に毎日の在宅勤務やプライベートな作業で使っております。